「今度はどうしたの?」
今、彼の顔がよく見える。
やっぱり、苦しそうにしているし…
目は赤く光っていた。
「どうし、て…そんな、にや、さしく…ハァハァ…する、の?」
そう話す口をみると、ヴァンパイア特有の鋭い牙が2本、私の目に映る。
なんで、優しくするの…かぁ。
たしかに、そうだよね…
今までの私はどう考えたって圭太のこと嫌ってたし…
それに、帰りたい、そればっかりだった気がする……
だけど……
「圭太が、あなたのことを話してくれて…思い出せないけど、何だかほっとけない気持ちになったんだ。だから、じゃないかな?」
そう言って、私は精一杯の笑顔を見せた。
「そ、っか…」
なんだか、とても満足したようにそう言った。
「それ、だけ…聞ければ、いい……」
そう言って、私をそっとはなした。
そして、彼は苦しそうに顔を歪めながら体を起こして、ベットからおりた。