「何も、思い出せない…のに、ここが私の家?」
「そうだよ?」
「じゃあ、華雷も、ここに住んでたの?」
「はい」
質問するたびに、短い返事で肯定されて行く。
もぉ、いやだよ…
ここには、もう居たくないよ…
誰か助けてよ…
「たす、けて……」
私はつぶやいた。
圭太には聞こえてないようだ。
「姫? 少しの間、一人になりますか?」
「そうしてもらえると嬉しいけど…」
「わかりました」
そうして、圭太は部屋からでていった。
シーンと静まり返る部屋の中、私は何かここから出る方法がないか探し始めた。
きっと、なにか…
なにか、あるに決まってるっ。
それを見つけ出して、今までの生活に戻るんだから……!!
あ、でもその前に…
少し、部屋を見て回ろう。
自分の部屋と言われた場所をはしからあるきはじめる。