ここは……?
窓一つない、大きな大きな部屋……。


「姫、起きました?」


さっきの男の声がした。


「だれ?」
「申し遅れました。圭太です」
「なんなの? 私が姫って?」


男は不思議そうな顔をした。


「ご存知ないんですか?」
「知らないわね」
「あなたは、ヴァンパイアのお姫様なのですよ? そして、僕達はお姫様を守るための集団、"アンドール"に属している」


そういえば……こないだ華雷から聞いたわね……


"アンドール"


という名前。


確か、ちゃらい男の集団って言ってたような……?
でも、今守るって言ってたよね?
どうゆうことなのかしら……?


私の頭では沢山の疑問が生まれていた。


「貴方たちは、私を姫と呼ぶの?」
「? そうですけど。それがなにか?」
「いえ。なんでもないわ」


私はニコッと笑ってそう言った。


なるほど……。
じゃあ、これから姫って呼ぶ人には近づかなければいいのね。


「あ、家に帰りたいんだけど、ここどこ?」


私がそう聞くと、


「帰れません」


そうハッキリ彼は言った。