そこには、確かに私の字で“乃滝サラ”と名前が書かれていた。
「えっ!?
なんで?どうして? これは一体どういうことですかっ!?」
身を乗り出してシキを見ると、シキはおかしそうにフフっと笑った。
「サラ様が“抜き打ちテスト”やらを受けるときに、こちらにもサインをして頂きました」
「……は?」
「お名前を書く欄だけ複写になっていたんですよ。
我ながらいい案だと思いました。
サラ様、全く気づかれなかったでしょ?」
こいつ……
一発くらわしていいかしら?
はっ!!!!
『ちょっとした気の緩みが、大変なことに。
あなたの世界が、ガラリと変わってしまうかも!?』
おいおい。
まさか、このことかっ!!
「ルカ様は、人間であるお母上に全く心を開いておられないのです。
それどころか、人間の血が少しでも流れているご自分のことをひどく嫌ってらっしゃいます」
「………」