「サラ様ーーっ!!
一体、なにをされているのですかー!!!!」
……え?
執事の格好をした彼は、バラ園に立ち尽くしている私のもとへ走ってくると、今にも泣き出しそうな顔でしゃがみ込んだ。
「あの……
どうして、私の名前を……」
「ああ……
丹精込めて育てたバラが……」
私の質問には答えず、バラの心配をしている。
私の体重で折れてしまったバラを両手で支え
しばらくしてから、諦めたように立ち上がった。
「……あの、どちら様?」
さっきあの男へ言った言葉を、そのまま彼へ向けた。
半泣きの彼。
私の方を向くなり、パッと表情を変えた。
「私は、シキと申します。
以後お見知りおきを」