物静かな、とてもクールな声。


彼は私を見た瞬間、表情をひとつも変えずにそう言った。



「……あの、どちら様?」


私が聞くと、彼はとても不愉快そうに眉を寄せた。


「またえらいバカそうなのが来たな」


「はっ?」


今度は私が眉を寄せる。


どうして初対面の人にそんな事言われないといけないの?


彼は首を捻ると、館の方へ歩いて行った。


な、なんなの?


こんなに本気でムカつく夢を見たのは久しぶりだ!!

早く朝になれ!!

そして早く夢から覚めやがれっ!!



「あーーーーーっ!!!!」


突然、背後から男性の叫び声が聞こえた。


今度はなにっ!!

般若の顔つきで、後ろを振り返る。


そこには、顔を青ざめさせた、明らかに私よりも年下であろう男の子が立っていた。


その男の子は、執事の格好をしている。


一体、私はなんの夢を見ているんだろう……