【いつか】


いつか
ああ
こんなときがあったねって

ああ
あんなこともあったねって

笑い合えるのなら

どんなに楽しいことでしょう

語り合う二人に
こぼれるのが
雫ではなく
笑みであるのなら

どんなに幸せなのでしょう

思い出は
生きていけばいくほど
自然と蓄積され

永遠にも思ったときは
やがて遠い過去へと変わり

何かしら
懐かしすぎて切ない気持ちになったり
もどかしくて悔しい思いをしたり

けれど
それはやはり

生きているから
のことであって

当然のことながら
死んでしまったら
思い出はそこで止まってしまう

あとは遺された人の
思い出になるのでしょう

それは分かっている
なのに
辛すぎる

時間が過ぎていけば
心の中の何かが変化するのでしょうか

もっと楽になるのでしょうか

けれどもしもそれが
何かを失うことで得る気楽さであれば

わたしはそんなもの要りません


boui