【せいしゅんじだい。】


自転車が太陽に輝き
まぶしい銀輪は小気味よい速度で

走っていく

ああ
もう戻らないときなんだね

何だか寂しくて
たまらないよ

わたしだって
あの中にいた

当たり前のように制服を着て
みんなで
笑いあってたんだよね

でもときが過ぎていけば
もう戻れない世界に変わってゆくの

どこかへ忘れ物をしたような気持ち
そう感じたら
もう青春は終わったも同然よ

ポケットをいくら探っても
あふれ出していった光の粒は
きっと見つからない

自転車をこいでいて
あのときと同じ匂いの風が
わたしを包んで

わたしは無性に
泣きたくなる

懐かしい匂いは
あまりにも優しくて
手の届きそうな場所に
すぐそこまで
やってくるから

でも
どれだけつかんでも
その風はわたしを
そのときへと連れていってはくれない

あまりにも残酷な風たち

それが
青春時代を生きた喜びと
過ぎ去ったものへの哀しみだというのなら

人生は
生きていくにはとても難しく
そして果てしなく愛しい
物語


boui