10分ほどトイレにかがんでいると
吐き気は収まった。


携帯を見るとマネージャーから留守メモがはいっていた。

内容は外で待ってるよとのことだった。

心配してるだろう。

あまり心配かけたくないのに…。

この体調の悪さはいつも急にくる。

なんなのだろう。

そろそろ病院に行くべきなのか・・・。

悩む。

もし大したことない病気ならいいんだ。

ただ、大きな病気だったときがこまる。

この世界(芸能界)はシビアだ。
いつどんなタイミングで仕事がなくなって
収入がなくなるかわからない。

教授の収入はある。

だけどだからって甘えるのも、自分は納得がいかない。

迷惑なんかかけたくない。


車に戻りながらそう考えていた。


「まゆっ・・・!」


車のドアをあけるとマネージャーが真剣な面持で私の名前を呼んだ。


「あ、もう大丈夫になりました!
すいません、お待たせしちゃって。」


マネージャーに向かって深々とあたまをさげてあやまる。


「・・・。
もう大丈夫じゃないでしょう。
顔色はまださっきよりはましだけどものすごく悪い。
今日は仕事がもう終わったからいいわ。
…もしかして今日仕事中ずっと体調悪かったの?」


「あっ…いや、さっきかがんだとき急に。」


「そう…。
とにかく心配だわ。
車酔いなのかしら?
でもまだ乗ってなかったし…。
今はもう何ともないの?」


「はい。大丈夫です」


自分的には今はもう大丈夫。

まわりからみたら顔色はものすごく悪いかもしれないけど。