「そうよ。

このコが、葵の人生を狂わしちゃったコよ」



さっきの可愛らしい声とは対照的なハスキーボイスが、そう言った。


そして助手席のカノジョはクスリと笑う。



―― 人生を狂わした……?



あたしが? いつ?



辻之内の人生を狂わした、だなんて。

そんな覚えもちろんないいんだけど。


どういう意味だろ。


なんだかイヤな予感がしてくる。



「じゃあさ、責任とってもらったほうがいいんじゃないの?」


「そうね~、そうしてもらおうかしら フフッ」



と、そんな短いやり取りのあと


車のスピードが加速したように思えた。