見慣れた、黒い双眼が俺を捕らえた。


いつも無邪気に笑うその瞳は、驚きの色を映して。


その色とこの光景に頭の中に、酷く、ひどく、辛い記憶が蘇る。



『……えへへ。来ちゃった。ケイのお仕事みたくって。』


その真意は、俺を見張る為？


『すごいすごーい！ ケイはすごい俳優になるに決まってるもんね！』


俺は、カノンの何だったの？


『ねぇ……ケイ。私だけのモノになって、私の中だけで生き続けて……』


最初から、それが狙いだった？





――やめろ。


「………何、してんの」


なんとか搾り出した声は誰にも向けられたものか。