「………ケイ?」


グイッと腕を引かれたように、現実に戻された。


「………ハ、ル、」


「大丈夫か? 顔色悪い。」



ハルが伺うように顔を覗き込む。


……心配してくれんのは嬉しいけど、顔近ぇよこのバカ。


苦笑いしながら呟くと、ハルはニカッと笑う。


それがほんの少し雛乃に似てるな、とかぼんやり考える。


「……ハハっ、この顔だけは双子だろ?」


「…うん、似てる。」


――気を使ってくれたのかな。


その気遣いに感謝。


ハルと別れ、一人で中庭をうろついていると。




「…………麻垣?」