「ほら、アレだろ? お前のにーちゃん。」


そう言われ、視線の先を辿ると、見慣れた丸い黒髪。


その隣には、水陽よりも黒い――漆黒の髪を揺らす、志島君らしき人も居た。


どうやら撮影中らしく、青空の下、二人共普段より華やかな表情で談笑していた。



「うん、ありがと。九条。……………さん。」


取って付けた様な敬称に、九条は目を細めて笑った。


「ハハッ、「さん」はいらねーよ。学年一緒だしな。」


私を中庭のベンチに降ろし、自らも隣に座る。


良く見れば、中々整った顔の、所謂イケメン。


あの二人――水陽と志島君と並んでも違和感は無いだろう。