「……麻垣雛乃。ほら、奏鈴の生徒手帳もある。」


紺色の生徒手帳を見せれば、彼は驚いたような顔をした。


「……お前、本当に麻垣水陽の妹だったのか。」


信じてなかったのか、と言い返そうとしたけど、当たり前か、という結論に達し、その声は飲み込んだ。


その変わりに、何で塀に登る羽目になったのかを説明する。


学園から10時の鐘が響き、間に合わなかった、と顔を顰めた。


すると、彼が私の身体を横抱きにして持ち上げる。