「これが大丈夫に見えるの?」


涙目で睨みつければ、彼は一瞬引き下がるも、直ぐに威勢を取り戻す。


「不法侵入なんかしようとするからだろ。そんなにアイドルが好きか?」


馬鹿にしたような態度でそう言われ、腰の痛みも忘れて怒鳴り返した。


「うるっさいな! あんたには関係無いよ! 大胆、私は水陽が忘れてった台本届けに来ただけだから!」


「台本届けに来た女が何で塀に上ってんだよ。信憑性ゼロ。」



う、と言葉につまる。


確かに普通、届け物に来た人間は不法侵入なんかしない。