「……あのさ。水陽にコレ、届けたいんだよね――」




そこまで言って、水浪兄貴は私の言いたい事を悟ったらしい。


面倒臭え、とか呟きながら、不機嫌な顔。


でも、何だかんだ言ってこの兄は、5兄弟の中で1番ガサツだが、1番面倒見が良いのだ。



「―――わーったよ、バイクだろ。送ってやるから着替えて来い。」


その言葉に私は、にっと笑って兄の首に抱き着く。


「さぁっすが私の水浪兄貴! イイ男!」


この台詞も今や定番。


水浪兄貴をおだてる1番の台詞なんだ。



兄貴は照れ臭そうに頭を掻いて、満更でもなさそうにする。