時計を見て、あれからそれ程経っていない事を知った。


今は5限目の終わり頃。


水陽が私を運んだのかな。


「………ヒナを運んだのは、兄貴だよ。結崎(ゆうざき)センセじゃ、頼りないからってさ。」


私の顔を見た水陽が、言いたい事を悟ったのか、頭を掻きながら言う。


……そっか、水哉兄ちゃんが…。


後でお礼言わなきゃな。


そんな事を考えていると、水陽が私をじ、と見詰めていた。


「……みはる? どうかした?」


問えば、水陽ははっとして、静かに首を振る。