私を、堕とそうとする。


『……あれよ、あれが水陽君の、妹。』


『何あの子〜、フツーじゃない?』


『フツーですら無いって! 水陽君と血が繋がってるなんて信じらんない。』



……五月蝿いな。


ただでさえ苦手な水泳なのに、気分悪い。


笛の音と共に泳ぎ出そうとすれば、水の中に、『何か』が私を引きずり込む。


それを、人の手だと認識した瞬間、ごぽりと空気を吐き出した。


(―――っ、)



私を引きずり込んだ本人は、素知らぬ顔で泳いで行く。


驚きと無理な姿勢のせいで、ピキリと脚の筋が強張った。