「でも、何で水哉兄ちゃんがここに?」


さっき教室から出て行ったはずなのに。


すると、水哉兄ちゃんは溜め息をついて、後ろを振り返る。


「加納が呼びに来てくれた。雛乃が水陽の犠牲になってるってな。」



そこにはやれやれといいたげな稚世の顔。


「稚世ぇー、ありがとう…! 助かったよー」


ほぼ半泣きで稚世に抱き着く。


ヨシよし、と頭を撫でられていると、背後から不満そうな声が。


「……ヒナのバカ。何でオレがダメで稚世は良いんだよ……」