覚えてなさいよ、なんてお前は何者よ? と聞きたくなるような台詞を吐き、お姉様方は短いスカートを翻して走ってく。
カラン、と音を立てて暗い公園の中鉄パイプが転がり、ぶつかった。
それを無機質に眺めながら、私は長いお下げの髪を直す。
(……なんで、わたしが?)
どうして、ねらわれるの。
水陽が何をしようと、私は知らないのに。
問いつづけたこの答えは、まだ。
「…………知香子、」
公園の入口に立つ、親友の姿。
三隅(みすみ) 知香子。
「雛乃、また……」
「そうだよ、水陽のファンだって。」
自嘲気味に笑う私を、心配そうに見つめる知香子。
頬に受けたキズに、知香子の手が触れた。