稚世は私を見てにや、と笑うと「またムネおっきくなったんじゃなーい?」なんて言ってる。


殆どオヤジだ。しかも酒の入った厄介な方。


「そっかー、志島って巨乳キラーだったのね。」


「あほな事言わないの!」



そうして、とりあえずは女同士の悪ふざけは幕を閉じた。


先程とは打って変わり、二人して日陰に腰を下ろして壁に寄り掛かる。


「…雛乃はさ、志島が好きでしょ。」



稚世の突然の言葉に、私はただ固まるだけ。


それを見て、稚世はやっぱりねー、と笑って私の頭をくしゃくしゃにする。



「……そうなのかな、やっぱり。私もね? ちょっとは思ってた。でも、今はさ、志島君の力になりたいって、それだけ。」


私がそう呟くと、風がざあっと吹いた。