ぴた、と稚世の動きが止まる。


その顔は……、うーん…呆れたような、興味深そうな…ともかく、形容しがたい。

夏の名残の強い日差しが、ジリジリと肌を焼いて、それはそれは辛いというのに。


「………この、へたれ。」



稚世は私にそういうと、思いっきり頬っぺたをつねる。


「い、いたいっ!! ちせっ!」


つねられたせいで多少呂律が回らないが、そんな事気にしてられない。


涙目で稚世を睨み、べちべちとコンクリートをたたいた。


「もうっ! あんたもあんただけど、志島も志島! こんなにキスマークなんかつけといて生殺し!?」


しらんわ! とは言わない(否、言えない。


稚世はやっと私を解放すると、日陰へと移動する。