「―――雛乃」 ふいに、荒い息の中聞こえたのは、私の名前。 稚世を見れば、息切れのせいか頬を紅く染めながら私をじっと見つめていた。 ――正確には、私の、首元を。 「………したの?」 …べちんっ! 稚世の傍で中腰になっていた私は、その声に動揺してバランスを崩し、派手に尻餅をついてしまう。