「雛乃――――ッ!!! このバカムスメッ!!」


一喝。


されたのは当然だけど私。


声の主は水哉兄ちゃん。


「加納もハルもどれだけ心配したと思ってる!? 皆に心配なんかかけるもんじゃない!」


「……ゴメンナサイ。」



水哉兄ちゃんの恐怖のゲンコツが飛んで来る前に素直に謝る。


勿論、悪い事をしたと思ってるから、というのもあるけど。


そっと上を見上げれば、兄ちゃんの眼鏡の奥が、揺らめく。


……本当に、心配かけちゃったのかな。


そりゃそうだ。校外に出ていた可能性も無い訳じゃ無かったんだし。