顔を上げた。


傷付いた顔が、視界を埋める。


「……そんな顔、しないでよ」


謝りに来たのに。


呟けば、また無表情に戻る。


今や見慣れた、何も映さないその瞳は。


誰にも知られずに、何かをずっと映してる。




「自分を、責めるな」


一言。


バカみたいに傲慢な私に、その言葉はまるで赦しだった。


普通じゃない私と、普通じゃない君の、奇妙な会話。


他所の誰かが聞いても、きっと解りはしない。


その言葉の、真髄に。


(……言外に、関わるなと?)


――自分を責めるな。


――誰にも解られはしないのだから。