「それ、言わせる?」


ハ、と嗤う吐息が、耳につく。


一体私達はどうしてしまったのか。



「……酷い事、言った。」


「でも本当の事だから」


「そんな事ない」


「嘘つき。」



感情も何もない、ただの口論が廊下に響いた。


二人の、酷く静かな声色が、反響する。


「私は、バカみたいに自分に傲ってた。」


何かできるかも、なんて。


「…所詮、私は赤の他人で、志島君の苦しみを知る事なんて、できないのに」


なのに、なんで。


「なんで、今それを否定するの?」