「………水陽が、心配してるよ。」


私も視線を足元に戻し、一言だけ言葉を紡ぐ。


外された視線が、何故かとても痛いんだ。


凄く、苦しい。


首を絞められた時よりも、ずっとずっと。


無意識に、喉に触れる。



「…………、悪かった」



降り注ぐ秀麗な声は、感情を帯びずに。


けれどきっと、仮初めの言葉では無いと、直感した。


「……何が」


そして、可愛さの欠けらもない、私の掠れた声。


あまりにも不似合いな、私たち。


人気の無い薄暗い廊下で、ただただ俯く二人は、奇妙だった。