疑問に首を傾げれば、その綺麗な手がすっと伸びる。


向かう先は、私の胸元。

本能でビクリと身体を強張らせれば、ぴたりと手が止まる。


(………?)


そろりと志島君を見上げれば、無表情が崩れていた。



――――え、なに。



なんで、そんな顔……するの…




崩れた無表情は、傷付いた顔。


悲しげな瞳が、目に焼き付く。



(………なんで、)


――私が強張ったの、気付いたから……?



けれど、その顔は直ぐに元の無表情へと戻り、私から視線を外す。


「………何で来たの」



その声には、感情が込められていない。


まるで興味なさげに、私に問うた。