誰も居ない所で良かった。


今、誰かが近くに居たら、なりふり構わず縋ってしまいそうな気がするから。


独りなら、縋るものも無い。





それから5分程経つと、泣き疲れたのか、強い眠気に襲われた。


その眠気に見を任せ、そのまま瞼を閉じようとした時だった。


スカートのポケットに入れていた携帯が振動し、着信を伝える。


慌てて通話ボタンを押し、電話に出れば、稚世の憤慨した声。



「――雛乃ッ! あんた今何処に居んのよッ!!」