その抵抗に気を取られたのか、私の喉に食い込んだ指から力が抜ける。


解放された瞬間、勢い良く咳込んだ。


横目に志島君を見ると、呆然と私を見ている。



「―――……、悪い」



俯いて、一言。


それだけ呟くと、私に背中を向けて部屋を出て行った。


残された私の中には、沸沸と後悔が湧き出る。



ゆっくりと背中を起こして、呆然と扉を見つめた。





―――私、今何をした?


傷つけて、どうするの。



違和感の残る喉に触れる。


あの時の憤った顔が、目に焼き付いて離れない。