「―――やめて!!」



搾り出した声。

狭い作法室に響いたそれは、志島君の動きを止めるには十分だった。


ぴたりと全ての動作が止まる。



私の耳には、ドクドクと早鐘を打つ心臓の音しか聞こえない。


力の緩んだ手首を握れば、首筋に埋まったままの頭がぴくりと動く。


顔を上げた彼の瞳は、感情が読み取れない。


「……志島くん、」



名前を、呼んだ。


掠れた声しか出ない。