きしりと、畳が鳴る。


何が起こるかわからない雰囲気に、冷や汗を流した。


「………怖いわけ」


感情も何も含まないのに、確かに艶やかな声色に背筋がゾクゾクする。

やだ、この感じ。


(怖いに、決まってる)


何をされるか、全然予想がつかないこの瞬間が、1番怖い。


(でも、それよりも、)


志島君の真っ黒な瞳は、何も教えてくれないんだ。


撮影の日みたいに、あんなに辛そうにしてたって、何一つ私には教えてくれない。


会ったばかりで、当然なのかも知れないけど、でも。


「……っ、志島くんが、こわい…。こわいよ……。今にも壊れそうで……」