ピシャリとドアを閉め、鍵をかけた志島君。


ちょ、その前に何でここ鍵空いてんの。


茶道部が廃部になってから、使われてない筈なのに。



「……ここで、ちょくちょくハルと練習してたから。」


あ、さいですか。



それにしても、何で此処に私を?


首を傾げれば、捕まれていた右手がグイッと引かれた。


バランスを崩し、畳に向かって倒れ込む私に覆いかぶさるように、志島君も倒れ込む。


畳のお陰で衝撃は無い。


けれど、必然的に目の前に志島君が居る訳で。


しかも、先程の九条同様、鼻がくっつきそうな位顔が近い。


捕まれていた手首に、力が篭り、畳に縫い付けられたみたいに動けない。