「反則って言うなら志島もだろ? そんな、拘束しちゃってさぁ。」


ニタリと笑う九条。

全然楽しくねーよ!


「勝手にしろとかほざいといて結局は掻っ攫いに来るんだ? 熱心な王子様だねェ」


「勝手にしろとは言ったけど、麻垣の気持ちを無視しろなんて言ってない。」


そう吐き捨てれば、志島君は私の腕を引いて廊下を歩き出す。


「……っえ、志島く――」


「黙って」



ホームルーム始まるよ、と言おうとしたのに、制止された。


先を歩く志島君の歩幅は大きく、着いていくのが大変。


もう限界、と足を止めようとした時、志島君は今はあまり使われない作法室へと入っていく。