額の汗を手で拭い、九条を見上げれば、その綺麗な顔が楽しそうに笑う。


「……何、思い出し笑いなんかして。なんか気持ち悪いよ?」


素直な感想を述べれば、その笑いは深くなる。

壊れたか、と半歩下がろうとしたが、壁にぶつかり呆気なく逃げ場を失った。


「なんか、怖いんだけど…。中で何があったの」


恐る恐る問えば、九条は楽しそうな表情を崩さずに、鼻先が触れ合いそうになる位顔を近づけて、私を追い詰める。


そして、その薄い唇から、これ以上無いって位甘い声で言葉を紡ぐ。


「所謂、宣戦布告。志島にしてきた。」