「……雛乃、」



おさえて、と稚世の声。


このありがたい親友は、私の感情の機微をとらえてくれる。


はぁ、と息を吐き、志島君の鋭い視線から逃れるように、背中を向けて教室の外へ。


ホームルーム開始まであと15分程度。

なんとか心を落ち着けようと、窓の開いた廊下に出て風に当たる。



(……私も随分と、成長したのかな。)


ふ、と頭に考えが過ぎった。

以前は、泣き寝入りなんか御免だと、片っ端から喧嘩してたのに。