ゆらり、水陽がキレ気味に九条を斜め上に見上げる。(九条は背がかなり高い)
そんな水陽を挑発するように、私の肩を抱きながらふん、と鼻を鳴らす九条。
ニヤニヤと楽しそうに成り行きを見つめる稚世に、我関せずを決め込む志島君。
そして、九条に抱かれながらハラハラと水陽を見つめる私。
(それ程では無いのだが)緊迫した空気の中、志島君がいつものように文庫本のページを捲る音だけがいやに響く。
衝突の内容が内容なだけに、阿呆らしい空気は否めない。
けれども、本人達は大分真剣な訳で。
「………誰が、シスコンだってぇ? 妹を大切に思う事の何が悪いんだよ、このクソ理事長」