……綺麗、だな。


平凡な自分が羨む、綺麗な早紀さん。


こんな時だというのに、私は早紀に憧れを抱いていた。



早紀さんにぽーっとしていると、九条が私の頭をばしんと叩く。


「………痛い」


不機嫌な声で反せば、九条はまた私の頭を乱していく。


「早紀に見とれてないで、ガッコ行くぞ」


九条も不機嫌そう。


なんでだろ、なんて呑気に考えていると、ぽつりと吐き出された不満が耳に入る。



「…………俺にも、見とれてくれればいいのに。」


その拗ねた言葉に、不覚にも顔が赤らんでしまったのだった。