いつもと同じ,静まり返った廊下。
 そりゃそうだ。だって、まだ時計の針はAM7:45。みんなが来るまで30分はある。
こんな時間に来るのは昔から早く家を出る習慣がなんとなく落ち着かずにいるせい。
 けど、そのあたしよりもいつも、早く来ている、ただ,一人を除いて。
 教室のドアを開けると、そこには窓を開けて,外を眺めている男子生徒――彼はドアを開けた音で一瞬振り向いたが,再び窓の外に視線を向ける。
 彼こそが、夢に名前が何度も出てきた、志之居君。
 彼が話したくないのなら無理に話す必要もない。けど,今日はそういうわけにはいかない。