志之居君が悪魔に向かって右腕を伸ばし,右手をぐっと握りしめる。
「『オン・フェルシュトゥ』ッ!」
 手を開く――その瞬間,何が起きたのかまったく分からなかった。
 悪魔がとてつも無いスピードで吹っ飛び,消えたことしか。
「俺が一応、ガードする。ついてきて。早いほうがいいから。」
「う、うん…」
 この人は何者なんだ。
 アタシは関わっちゃいけない人に関わっちゃったのだろうか。