「何でそんなに落ち着い…」
「そこ!離れて!!」
 突然、アタシの言葉を遮るように志之居君が叫びながら、教室の前の方へ駆け出す。
 目を向けた方向へ、劈くような破砕音とともに、ドアが砕け散り飛び込んできた。目を凝らすと、パラパラと破片が舞う中から黒くシワだらけの足と共に、人間の大人ほどの大きさのゴリラのような一つ目の悪魔がぺたり、ぺたりと教室へ踏み込んでくる。
 一斉に机やイスをなぎ倒しながら教室の後ろへとみんなが逃げる中…
「ちょっ、志之居君っ?!」
 思わず叫んでいた。