「どうして?」
「なんとなく。志之居君に余裕がある気がしたから。」
 アタシがそう言うと、彼は机を握る手を離し、頭を軽くかきながら1つ、ため息をついた。
 そして。
「信じられない、と思ったけどね。早瀬さんのおかげである程度は。」
「アタシのおかげ?」
 幸い、教室の中はきゃーきゃー叫んでる子もいれば泣き出してる子もいる。大騒ぎなのだ。アタシ達が話してることすら大したことじゃないんだろう。
「まさかこのタイミングで、とは思わなかったけど。」
「ねぇ、どういうことそれ、これって何なの?」
 この人は分かってやってるのか、本当にバカなのか。