「志之居…君……?」
 彼が座ってるのはちょうど教室の真ん中あたりの席。
 その彼が、座ったままゆったりとした口調のまま続けた。
「言ってたじゃないですか。ガープは学校の敷地内を囲ってる。それにもう動き出してるのにどこへどうやって逃げるんですか?」
「おい、志之居、でも、いや、しかし…」
「逃げませんよ、俺は。」
 がたん、と席を立つと、廊下側の窓へ向けて、机を寄せ始める。どうやらバリケードを作っているようで、ぼう然としていたクラスの男子達が、俺も、俺もと机を詰め始める。
「そっ、そんなもので防げるのか?!」
「闇雲に逃げるよりはマシじゃないですか?」