「……かな…」
「えっ?」
「あ,いや,何でもない。えっと……ちょっと心当たりがあるんだけど……」
「ほんと?!」
 思わず立ち上がるのと同時にばたんっ,と勢い余ってイスが後ろに倒れる。
「まだ不確かだよ。その……ちょっと,額を見せてくれないかな…」
「ひたい? ああ,おでこ? いいけど……」
 アタシは前髪をあげると、そっと志之居君の左手がアタシのおでこに触れる。
 なっ,なんなんだろ……
「……やっぱりね…」