「これ、渡したの…覚えてないんですか?」


部屋の中央にあるテーブルと
それを囲うように並んだ五つの椅子

その真ん中にある椅子に座る彼―
会長に地図を渡した。





「……知らん」




…なんと……



「お…覚えてない、ですか?」



地図を凝視している彼に続ける


「入学式の日、ここに来いって地図を渡されて…貴様はコンタクトか、とも」

「思い出した!!!!」



ガッターン!!!


音をたて倒れた椅子

彼が急に立ち上がったからだ



「貴様ッ、コンタクトを外せ!!」


「また…か…」


半場呆れながら後ずさりする



「会長、コンタクトに敵対心持ってんの」


背後から聞こえた声に振り返ると

そこには

「あ、前髪さんっ」


「…は?」


すごく怪訝な顔で見られた


これはまずい、と

思わず浮かぶ苦笑い



「おい前髪、」


ビシッ、と前髪さん(仮)に人差し指を向ける会長。

どうやら暴走は収まったようだ



「なんスか会長。俺前髪じゃないって何度言ったら…」


「髪を切らん貴様が悪いのだ。
それより俺は珈琲が飲みたい、早く淹れてくれ」



はいはい…と渋々動く


「こんな風通しの良い所に会室建てるからっスよ?やれやれ…」