すると、突然俺の方を向いたアイツ。
何かと思えば、うーんとか言いながら首を傾げ出す始末。
何だってんだ?
「……よくわかんないもんだよねぇ。あんなのでよくスキャンダルが乗り切れたもんだわ。」
俺は呆れてため息をついた。
「な・に・が、あんなのだと!!計算の内だ。この俺に不可能なんてねーんだよ!」
「はいはい、そーですかぁー。」
……あぁ、もう我慢ならない。
何で俺がコイツなんかにバカにされてんだ!?
「もうさっきからその態度は何なんだよ!!いつまでも漫画読んでんじゃねーよ。」
俺はアイツの手から漫画をサッと取り上げた。
「ちょ、ちょっと!!やめてよっ!!」
俺はアイツの手が届かないようにギリギリのところであちこちに漫画を動かす。
「かっ、返しなさいよ!大事なわたプリになんてことを!!」
アイツは猫がじゃれるみたいにピョンピョンとび跳ねながら、諦めることなく何度も取り返そうとしてくる。
「そんな態度だからいけないんだろぉ~?」
ちょっと意地悪っぽく言ってやれば、すぐ風船みたいにむくれっ面になるアイツ。
「っいいから、早く返してよぉ!」
ほら、もう形勢逆転だ。
やっぱりコイツをイジメんのは面白い――。
「ただでは返すのは、なぁ。うーん、どうするかなぁ?」
俺はアイツが背伸びしても届かない位置にかかげながら、ニヤリと笑って言った。
さぁ、どうやって遊ぼうか?
その時とび跳ねたアイツが不安定なベッドの上で体勢を崩した。
ちょうどいいな。
俺はそのままアイツを抱えてベッドに押し倒す。
真下にあるのはリンゴみたいに真っ赤な顔。
「……なっ、なっ、何すんのよ!!……ど、ど、退いてよ!!」
さっきまでの強気はどこに行ったのか、動揺してるのがわかりやすすぎる。
「イヤだね。倒れそうになったのを助けてやったんだろ?」
アイツは何か言い返したそうに口をもごもごさせるが、たぶんコイツの思考はフリーズしてて何も言葉が出てこないんだろう。
本当に、いつまでたってもコイツの反応は面白いよ。
やっぱ、俺とコイツの関係は、こうじゃなきゃな――。
「俺にあんな態度をとった分、お仕置きしないと、なぁ?」
俺はコイツの顔を見下ろして、とびきりの営業スマイルでニコリ。
「えっ、ちょ、イヤァァァ!!ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」
―――End―――
~あとがき~
最後まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
今作は、私Salalaの長編2作目。
初のラブコメでした。
女性の方にときめいて頂けるような、少女漫画のような世界観を目指し書いてみました。
もし少しでも読者の皆様がときめいて、楽しく読んでくださったなら、私はとても嬉しいです。
実は私自身、主人公の実來のようにアニメや漫画が好きなんです。
ですので、もし漫画に出てくる大好きなキャラに似た人がいたら――、という私の妄想から生まれました。
実來と太郎のドタバタぶりは書いていてとても楽しかったです。
他のキャラも、ジジ専やアイドルオタク、紳士な王子様、チャラい兄貴など設定を考えて動かしていくのが面白く、一人一人に対する思い入れが深いです。
ラストに関しては、2人の関係をどうするかとても悩みました。
でも、作中で太郎は自分らしくいるという答えを選びました。
“ありのままの自分でいること”
これはこの作品のテーマでもあります。
トラウマを抱えながらも自分らしさを捨てない実來と、彼女に影響を受け自分らしく変わっていった太郎。
一番2人らしい関係ってなんだろうと思い、あのようなラストに至りました。
きっとあの2人の進展にはまだ時間がかかるんでしょうね。
最後までこんな2人を、そしてこんな未熟な作者を見守ってくださったファン様をはじめとする読者の皆様には感謝しております。
これからも色々な作品にチャレンジしていきたいと思いますので、ぜひ応援よろしくお願いします。
この度はありがとうございました。
2011.7.29