「……参りました」
大きなため息と共に、ハンドルへもたれかかるようにして突っ伏した渡辺先生。
ああ、もう信号が青に変わるってば!
「じゃあ、俺と食事に行くことで、その他各方面へ悪影響を及ぼす心配は……?」
「ありませんからっ! 早く進まないと……」
後ろからクラクション鳴らされますよって言おうとしたら。
「進んでもいいんだね。じゃあ、遠慮なく」
膝の上で【うさぎのしっぽ】を握りしめていたあたしの右手は、渡辺先生の左手にすっぽりと包まれた。
「残念。運転中はこれしか進めない」
そ、そっちの『進む』ですかっ!!