まっすぐ前を見て、無表情のままハンドルを握っている。

膝の上に置いてあるバッグから、あたしはあるものを取り出した。


【うさぎのしっぽ】だった。


困った時、いつもあたしはこれにすがった。

入試の時はもちろん、体育大会も、ユウヤが産まれる時も。


お願い。

あたしに勇気をください。

ちゃんと話さなくちゃいけない。

あたしはこの日をずっと待っていたんだから。


中3のあたしだって、聞こえていないだろうけれど告白できた。

19のあたしは、あの頃より強くなったはず。

……だからこそ怖い。


これでもしダメだったら、あたしは心の支えがなくなっちゃう……。