思い切って携帯の電源を切ってしまった。
信号待ちであたしをチラ見していた渡辺先生が言った。
「いいの?」
「いいんです! 気にしないでください」
「気にしない訳にはいかないよ、【豊田芹香】さん。
【ユウヤさん】からの電話を切って、俺と会うのは間違ってるんじゃないか?」
その横顔は、無表情だった。
表情からは読み取れないけれど、あたしが誤解されてるのは明らかだった。
あたしってそんな風に見えたのかな。
もしかしたら、あたしのお母さんがそうだったから、あたしも同じだと思われてる?
あたしはまだ19なんだよ!
あたしはまだ誰かと付き合ったことすらないの!
あたしは……ずっとあなたが好きだったのに。