「久しぶり。俺の事、覚えてる?」
あの頃とちっとも変わらない、大好きな笑顔。
忘れられるわけ、ないじゃない。
ずっと待ってたんだから、なんて言ったらびっくりするよね!?
「忘れるもんですか!
渡辺先生にぎゃふんと言わせるために頑張ったんですからね!」
「うん、また俺に『ぎゃふん』って言わせたいんだよね?
でもその前に、彼の通訳をしなくちゃな」
そうそう、今は患者さん最優先。
あたしは入院に必要な書類を、渡辺先生に差し出した。
ライラさんと二人で、あたしにはちっともわからない言葉を話す渡辺先生。
こんなにそばにいるのに、果てしない距離を感じた……。